舞台は再びロンドンに移る。
つい数十分前まで士郎が昏睡していた病室に一堂が介していた・・・と言いたい所だったが、流石にこの数は多すぎるため病室に入ることは叶わず一先ず屋上に集合していた。
無論周囲には人払いの結界を施して。
「さて・・・士郎ちゃっちゃと話してもらうわよ」
凛が半ば無表情で士郎を見る。
「ああ、さっきも言ったけど俺がわかる範囲でなら」
それに対して士郎は何処までも自然体で当然のように頷いた。
四十七『決闘』
士郎の返事を聞き、まず問いかけたのはイリヤ。
「シロウ、そのコート・・・キリツグのだよね?」
「ああ、爺さんが十一年前の聖杯戦争で着ていた奴だ」
士郎の返答にイリヤが声を荒げる。
「何処で見つけたのよ!それになんで今まで黙っていたのよ!キリツグに遺品があるなんて聞いていないわよ!!」
怒りゆえだろう、頬を真っ赤にして迫るイリヤに士郎は困ったように言葉を繋ぐ。
「それを言われてもな・・・これを見つけたのは俺も数日前、一旦日本に戻ってからなんだよ」
「え?それってどういう事」
士郎は一旦離脱していた本当の理由と切嗣の試練を語った。
「じゃあ、シロウ、貴方の回路自体はキリツグが封印を施していたって言うの?」
「ああ、それを爺さんは解いてくれた」
「ではシロウ、その銃は?」
続いてアルトリアが尋ねる。
「これも爺さんの遺産さ。これは元々爺さんの礼装だったんだが・・・あれ?アルトリアは知らないのか?十一年前の聖杯戦争でも使用していたって言っていたけど」
「ええ、残念ですが、私とキリツグとは完全な別行動を取っており、私自身はキリツグの戦いは全く見ていないんです。あの当時私とキリツグの相性は最悪の極みでしたから」
「そうなのか・・・」
「それで士郎、その銃あんたのお義父さんの礼装という事だけど、何か特殊な能力でもあるの?例えば魔力を弾丸にするとか」
凛が興味深々とコンデンターをみる。
「いや、それ自体には特殊な能力は無いよ。そのコンデンターとこの弾丸。それが一組になって初めてその力を発揮する」
コートから魔弾を一発取り出して、コンデンターの能力説明に移る士郎。
当然だが一堂、この能力に表情を引き攣らせる。
特に魔術師組の反応は顕著だった。
「・・・これ魔術師にとってはメディアのルールブレイカー以上の天敵よ」
イリヤの言葉を全員が頷く。
「天敵所か不倶戴天の敵だろう。一発で魔術師という存在自体を完全破壊出来るんだから」
「ですがシェロ、その割には最高側近や『白翼公』には大した効き目があったとは思えませんけど」
「あれは受けた側がむしろ例外。『影』の奴は受けた直後、アルトリアの『全て遠き理想郷(アヴァロン)』で完全に治癒されたし、オーテンロッゼの時は切り落とした身体の一部で再生した様なものだし」
説明が終わると表情を固くした凛がおもむろに士郎に詰め寄る。
「・・・さて、じゃあ次・・・と言うか、一番聞きたかった事聞かせてもらうわよ。士郎・・・あんたどうやって強化や投影以外の魔術使ったの?」
それに対して問われた士郎はと言えば焦るでも狼狽するでもなく覚悟を決めたような表情で一つ頷く。
「そうだな。話すよ。ただ・・・皆、この話、長い話になるけれど、最後まで聞いてほしい」
その言葉に全員頷く。
そして士郎は語る、魔術使いの事を、そして『エミヤの魔術刻印』の事を・・・
「・・・そう言う訳さ。だから俺は強化、投影以外の魔術を使えた訳」
そう言って話を締めくくる士郎。
あまりの事に絶句し、思考も真っ白になっている魔術師達だったが唯一まともな反応を直ぐに返す者がいた。
「やっぱりなのね・・・もうとっくに絶滅したと思っていたけど『永劫の求道者』なんて」
「?メディアその口調・・・知っているのか?魔術使いの事を」
「ええ、私が生きていた時代、彼らの事は『永劫の求道者』と呼ばれていたわ。何しろ彼らの目指す頂はあまりにも高過ぎた、だから普通の魔術師は畏怖と憧憬、哀れみと嘲笑、相反する感情が混ざった称号を与えたのよ。最も数多くの求道者は険しさゆえに道を諦めていったわ」
「爺さんもそんな事言っていたな・・・それと、もしかして知っているのか?魔術使いが目指した『統べる者』を」
「ええ、私は見た事はないけど求道者達が何を目指し何になろうとしていたかのか、知っているわ」
「それは一体・・・」
そんな会話も強制的に終了させられる事になった。
「士郎」
硬い、いや硬すぎる声で凛が呼びかける。
そこに過大な殺気も混じっていたのだが、士郎はいつもの様に慌てる気配も無い。
むしろ予測していたような静かな表情で振り返る。
それと同時に凛の腰の入ったフックが士郎の頬を捉え、凛は士郎を殴り飛ばした。
『!!』
思わぬ事で絶句する周囲を尻目に凛は士郎の胸倉を掴む。
「・・・これまでもあんたの非常識極まりない魔術やら回路やらを散々見てきた・・・だからある程度の事には眼を瞑る気でいたわ」
そう言葉を紡ぎながら徐々に凛の感情に怒りが吹き上がる。
「でもね、これだけは・・・これだけは認めない!あんた自分が何を言ったのか理解できている?あんたが言った言葉は魔術師の存在意義それを根本から破壊する事よ!これを協会が知ったら間違いなくその刻印ごとあんたの存在を消滅させるわ!嘘だと言いなさい!冗談だと言いなさい!士郎!!」
怒りで頬を紅潮させ、その眼には涙を滲ませて士郎に詰め寄る凛。
それに対して士郎は、殴られた時に切ったのか口の端から血が一筋流れていたが、特に気に留めず慌てるでもなく顔面蒼白になるでもなく、静かな眼で凛を見つめ続ける。
その両者はあまりにも対照的だった。
「ね、姉さん!」
「リン!!落ち付いて下さい!」
そこへようやく我を取り戻したアルトリアと桜が凛を押さえる。
正確にはアルトリアが凛を羽交い絞めにして士郎から引き離し、桜が必死になって凛を宥めていたのだが。
「・・・凛、お前が怒るのも当然だよな。だからこそ爺さん、いや、エミヤの先人達はこれを永い年月隠し続けてきた」
一方の士郎は表情と同じ静かな口調で誰にでもなく語りだす。
「だけど・・・俺はこれを捨てる事は出来ない。少なくとも『六王権』との戦いが終わるまでは。それに何よりも、俺にはこれを否定出来ない。こいつを背負った事で知ったから。エミヤの先人達の思いを。届かぬと知りながらも遥かな頂に一歩でも近づく為に足掻き続けてきた先人達の意思を・・・それを無には出来ない。例えその先に俺自身の消滅があるとしても俺は捨てる事は出来ない」
語り終えた士郎の眼は何処までも静かで確固たる覚悟を持った瞳だった。
「っ・・・そう・・・だったら・・・だったら好きにしなさいよ!!」
そんな士郎の眼を見て一瞬言葉を詰まらせた凛だったが、直ぐに声を荒げると身を翻し屋上から立ち去ってしまった。
凛が出て行くのを追う様にアルトリア、桜が出て行き、それに続くようにイリヤ達魔術師を始め、集まっていたメンバーの大半がその場を後にする。
残ったのは士郎、メディア、イスカンダル、ディルムッド、レイだった。
「・・・ふう・・・」
「全く、ご主人様、もう少し配慮ってものもしなさいよ。あんな、バカ正直に話して、だから殴られるのよ」
「まあ仕方ないわね。刻印を誰にでも継承できるなんて知ったらそれこそ動転するでしょうし」
その場に残ったレイ、メディアが溜息混じりに評する。
「そうだな。俺だって爺さんから聞いた時には頭が真っ白になったし、俺に話せる範囲は話すって言ったし、何よりも、隠し通せれないだろうからな。それよりもメディアさっきの話の続きだけど」
「え?ああ、あれね。求道者が求めた究極、坊やの言っていた『統べる者』、それはおそらく『代理人』ね」
「??『代理人』」
「ええ、一つの領域を人間でありながら神の領域まで極め、それを認められる事で神と同格の力と死後には神霊となる資格を得た最強にして至高の人間。それが『代理人』よ。そして坊や、貴方は既にその『代理人』に限りなく近い立場にいる」
「え?何で・・・」
「貴方気付いていないの?貴方が『白翼公』との戦いで出した」
「えっと『剣の王国(キングダム・オブ・ブレイド)』の事か?固有結界だろ?あれ」
「いいえ違うわよ。あれは固有世界、『六王権』最高側近と同じ領域、世界の修正を受ける事無く世界と共生する事を許された心象世界よ」
「・・・嘘」
「・・・はぁ・・・こんな嘘ついた所でどうしようも無いでしょう。もっとも、限りなく近いであって、『代理人』そのものじゃないけど」
「??どう言う事だ?それは」
たまたま話を聞いていたイスカンダルが強引に割り込んできた。
「もう一つ必要なものがあるのよ『代理人』に任ぜられる為には」
「ほう?で、それは一体何なのだ?」
「・・・『象徴(シンボル)』、私達はそう呼んでいるわ。実際私も見た事は無いけれど、神が、人を自身の『代理人』として認めた時に与えるとされる品物らしいわ。物であったり能力であったりとするが、神々によって『象徴(シンボル)』も変わってくるけど」
そう言ってメディアは話をまとめた。
「それよりもエミヤ良いのか?あの娘相当怒っておったが」
「仕方ありません。今行っても火に油を注ぐようなものですし、それにこれをまだ捨てられないのも事実ですから」
「確かに、魔術師達は異論があるでしょうが、この刻印がエミヤ殿の力となる事は明白、そう容易く放棄は出来ません」
「ああ・・・『六王権』軍の事もあるけど・・・俺にはもう一つやらなきゃならない事もあるからな・・・ディルムッド」
「?はっ、なんでしょうか」
「すまないけど頼みがあるんだ」
「頼みですか?」
「ああ・・・実は」
士郎の『頼み』の内容を聞いた時、全員絶句した。
「ちょ、ちょっと、ご主人様、何考えてるのよ?」
「・・・正気?坊や」
「おいおい、何を考えている?」
「いくらエミヤ殿の頼みとはいえそれは・・・」
そんな中士郎は決意を固めた表情でただ一言、断言した。
「・・・ケジメはつけないといけないから」
その頃、アルトリア、桜はようやく病院の廊下で肩をいからせて歩く凛に追いついていた。
「リン!」
「姉さん・・・」
「・・・」
二人の呼びかけに歩を止める凛だったが、こちらに視線を向けようとしない。
「リン、気持ちは判りますが、シロウの気持ちも」
「そんな事は判っているわよ」
かつて無い怒りに少しうろたえながらアルトリアが凛を宥めようとしたが、その言葉を遮るように発せられた凛の返答は想像以上に落ち着いていた。
「悪かったわね、アルトリア、桜。けど大丈夫、一回爆発したから少しは落ち着いたわ」
そう言って振り返った凛の表情は本人が言うように落ち着いた表情だった。
表情や口調、台詞から本当に落ち着いたと見たのか二人共ほっとする。
「でも、少しやりすぎじゃないの?リン、いきなりシロウを殴り付けるなんて」
そこへ追いついてきたイリヤ達が合流する。
「う・・・仕方ないでしょ、あの馬鹿、魔術師(私たち)の常識を完膚なきまで破壊しておいて・・・」
「でも感謝もしているわリン、リンが爆発してくれたおかげで私達は一先ず落ち着いたんだから」
口ごもり弁明じみたものをしようとした凛を遮るようにイリヤが付け加え、さらにルヴィアが付け加えた。
「まあ、トオサカの短気は今に始まった事ではありませんし、そんな事はどうでも良いですわ」
「ど、どうでもいいってあんた・・・」
「それよりもこれからどうするつもりですの?シェロがあれを捨てる気が無い以上、シエロが迂闊に多用すればたちどころに協会の知られる所になりますわ。それが何を意味するかわかりますでしょう?」
ルヴィアの問題提起に一堂改めて問題の難題に口ごもる。
「確かに急がないといけませんね。ただでさえ士郎君の力は既にバルトメロイを始めとする『クロンの大隊』が目撃しています。今は先日の『白翼公』との戦いの戦後処理とロンドン魔道要塞復旧が最優先ですが何時こちらに意識を向けるか判りません」
バゼットの言葉に一堂が頷く。
どうにか『クロンの大隊』を欺けても、あの刻印を士郎が所持する限り、この事が露呈する危険は無くならない。
今後あれを使わせない事が一番良いのだが、士郎の性格からして使用せざるを得ない状況時には、自分の事は二の次にして、何のためらいも無く使うだろう。
「後は協会にシロウは元から多様な魔術を使えるって嘘の報告を上げて、キシュアにも頼んで口裏を合わせてもらうしかないわね」
「それが妥当ね。幸か不幸かあいつの能力の全容はまだ協会には伝えていないし、掴んでいない。上手く丸め込めばどうにか誤魔化せるわ。後は士郎にあれを多用しない様に言い含めるだけか」
そう言って、方針が定まりつつあった時、
「??」
ふと窓に視線を向けていたアルトリアが怪訝な表情を見せる。
「どうしたのよアルトリア」
「いえ、今ディルムッドが外に飛び出したみたいでしたので・・・ってあの戦車は」
「間違いなく征服王だな。どうしたのだ?一体」
「大方ロード・エルメロイU世の所に向かったんじゃないの?それよりもちょうど良いわ。私達も『時計塔』に向いましょう。協会が士郎の事をどれ位把握しているか確認を取らないと」
そう言い、『時計塔』に向う一行。
だが、この時ディルムッドが何処に、何の目的で向ったのかのか、イスカンダルの戦車に誰が乗っていたのかそれを知っていれば全員とても平静でいられなかっただろう。
何故ならば・・・ディルムッドが向った先、それはバルトメロイの別邸で彼は士郎の要請を受けてバルトメロイ・ローレライにある物を送り届ける最中だったのだから。
そう・・・『決闘状』を。
つい先日までオーテンロッセ率いる『六王権』軍が占拠し対ロンドンの最前線基地と化していた小都市ダートフォード。
『六王権』軍がイギリスから消滅した現状ではこの街には人っ子一人いない。
この街の住人は九割以上が死者もしくは食料としてすでに死亡。
僅かに生き残った住人も既にスコットランドへ避難。
現在のダートフォードは今やゴーストタウンと化していた。
そこの一角にある見開いた公園にイスカンダルの『神威の車輪(ゴルティアス・ホイール)』が降り立った。
「申し訳ありません、イスカンダル陛下」
「何、お主が珍しく・・・いや初めてだな私欲で動くのだからな、臣下の私欲を応じるのも王たる者の務め・・・だが、本当に良いのかエミヤ?」
何時に無く神妙な表情でそう尋ねるイスカンダルに士郎は頷く。
「はい、此処で逃げても彼女は俺を狙い続けるでしょう。だったら此処で区切りをつけないと・・・それが俺なりのケジメのつけ方です」
「全く・・・ご主人様律儀すぎるわよ。向こうの八つ当たりに等しいんだから、無視するなり師匠の名前を使って黙らせればいいのよ」
「それだと何の解決にもならないだろう、レイ」
「じゃがな・・・話を聞く限りではお主には何の非も何と思うのだがな・・・」
と、そこに
「エミヤ殿」
ディルムッドが姿を現す。
「お疲れさんディルムッド、で、先方は?」
「直ぐに向かうと・・・いえ、もう来ました」
その語尾に重なるようにイギリス軍のものと思われる大型輸送ヘリコプターが着陸、そこから『クロンの大隊』の隊員が十名前後現れ、周囲に結界の敷設を開始する。
その手際の良さから見るに精鋭ないし、幹部クラスなのだろう。
そして結界の敷設が完了するのと同時に、ゆっくりと姿を現したのはバルトメロイ。
そのままの足取りで士郎と相対する。
冷たすぎる殺気を身にまとい、凍えるほどの笑みをその顔に貼り付けて。
「・・・礼だけは申し上げましょう。エミヤ。良くぞ我がバルトメロイが背負う汚辱の払拭に協力してくれた事を」
「別にバルトメロイの為じゃない。俺なりにこの件でのケジメをつける為だけだ」
「ふっ、別にどちらでも良いでしょう。此処でエミヤ、貴方は死ぬのだから。それよりも後ろの英霊と使い魔は」
「無視して良いわよ」
「余の事は気にするでない」
「我々はこの決闘の見届け人。たとえエミヤ殿に命の危機が迫ろうとも手を出す事は決してしない。騎士の名に賭けて誓おう」
「そうですか・・・その言葉信じましょう。では覚悟は良いですか?エミヤ」
そう言い身構えようとしたバルトメロイを制するように士郎が言葉を発した。
「その前に・・・最後に一つ確認をさせてほしい。あんた達バルトメロイがエミヤを執拗に狙い憎悪する理由、それはかつてエミヤの先人がバルトメロイの祖先と恋に落ち、二人の間に子を成したにも拘らず、祖先とその子を捨てて姿を消したからに間違いないか?」
その言葉を聴いた瞬間、バルトメロイの表情から笑みは消え憤怒に変わり、氷のような殺意は炎のようなそれに変わった。
「訂正してもらいましょう・・・薄汚いエミヤは我がバルトメロイを弄び、何の責任も取る事無く、我が祖先をゴミ屑のように捨てたと!!」
その声は咆哮に変わった。
咆哮と同時に魔力を帯びた風が突風となり士郎を一瞬吹き飛ばしそうになる。
「そうだ・・・祖先はその憎悪、悲しみを全て刻印に残した、言葉巧みに近寄り祖先を弄び穢した事も・・・そして酷薄に祖先を捨てて行った事全てな・・・それもこれも全ては・・・エミヤ!貴様達を滅ぼす為に!」
「・・・ったく、そこまでしなくても良いだろうに・・・」
それを聞き思わず天を仰ぎ、誰に向っての事なのか言葉も少なげに呟く士郎。
己に向けられた言葉だと理解したのだろう。
バルトメロイの全身から更なる殺意と魔力が吹き上げる。
「当然の事です。それだけエミヤが犯した罪は深く重い。そしてエミヤは此処で滅ぶ。我がバルトメロイの鉄槌を受けて!」
同時に全身の魔術回路を全開にしているのだろう、吹き上がる魔力は小規模な竜巻を発生させる。
「・・・やるしかないな・・・刻印起動(キーセット)」
対する士郎は静かに詠唱を唱えるや身に纏った『エミヤの魔術刻印』が光り、士郎にその力を与えていく。
片や荒々しく、片やあまりにも静かに、決闘の幕は上がった。